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性感染症の「梅毒」が急増しています
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HPVワクチンのキャッチアップ接種が始まりました
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性感染症とプレコンセプション・ヘルス・ケア
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月経以外に出血があったら?
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ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん等)予防ワクチンをご存知ですか?
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「子宮内黄体ホルモン放出システム」をご存じですか?
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月経を早めたり遅らせたりできますか?
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低用量ピルには避妊効果以外に多くの副効用(=利点)があります
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続「卵巣チョコレート嚢胞」と診断されたら
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40代女性の婦人科疾患とホルモン療法
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『過多月経』は鉄欠乏性貧血の原因になります。
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『妊娠・出産には適齢期があること』をご存じですか?
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『高プロラクチン血症』と診断を受けたら
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『子宮頸がん検診』で「意義不明な異型扁平上皮細胞」と連絡が来たら
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『無排卵周期症』と診断されたら?
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早発卵巣不全
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『緊急避妊ピル』をご存じですか?
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『卵巣チョコレート嚢胞』と診断されたら
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『子宮頸がん検診』で精密検査が必要と連絡が来たら
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『多嚢胞性卵巣症候群』をご存知ですか?
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『子宮頸がん予防ワクチン』の任意予防接種が始まりました。
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「子宮腺筋症」は女性のQOLを低下させます。
「子宮頸がん予防ワクチン」をご存知ですか?
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生理が止まったら
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「月経前症候群」をご存知ですか?
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もしかして「更年期障害」?
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「子宮頸がん」は予防できます。
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低用量ピルは女性の生活改善薬です。
2回に渡り、低用量ピル(以下、ピル)には高い避妊効果に加え、多くの副効用(体に良い作用)があることをお話いたしました。最終回は「ピルの副作用、ピルを服用すべきでない場合」についてお話します。
外来で「ピルの副作用で何か心配なことはありますか?」と尋ねると、ほとんどの方が「ピルを飲むと太ると聞いたことがあります。」と答えられます。確かに、従来の中・高用量ピルを長期間服用すると体重増加傾向を認めることがありましたが、低用量ピルではほとんどの女性で体重変化はみられません。一時的な食欲増進により体重増加傾向を認める場合もありますが、数ヶ月で落ち着きます。また、吐き気、むくみ、不正出血、倦怠感、頭痛、乳房の張りなどの症状を自覚する人もいますが、これらの多くは1~2ヶ月以内に軽減、消失します。頻度は非常に稀ですが、ピルの服用によって発現リスクを高める可能性がある重篤な病気に、心筋梗塞、静脈血栓塞栓症及び脳卒中があります。これらは、タバコを吸う方で頻度が高まると報告されています。ピルを服用する、しないにかかわらず、タバコの健康被害を考え禁煙することが一番です。 「ピルを服用すべきでない場合」とは、以下のような病気にかかっている、又はかかったことがある場合です。すなわち、乳がん、子宮体がん、心血管疾患、心弁膜疾患、虚血性心疾患、脳卒中、高血圧、静脈血栓症、血栓性素因、重症糖尿病、重症肝胆嚢疾患、片頭痛などですが、35歳以上の喫煙者、分娩後6ヶ月以内の母乳栄養の方、及び授乳されていない分娩後21日以内の方も服用できません。また、特定の抗生物質、抗てんかん薬、及びセイヨウオトギリソウ(ハーブ)などはピルの避妊効果を減弱する可能性があります。
「低用量ピルは女性の生活改善薬です」と題し、「ピルの正しい知識」についてお話してきました。私ども産婦人科医がピルを紹介する時、その女性がピルを服用することで避妊以外にどんな副効用が期待できるかを常に考えています。ピルはほとんどの女性が安心して飲める薬ですが、残念なことにピルを服用できない女性がいることも事実です。一方、タバコを止めることでピルの恩恵を受けることが出来る女性もいます。 ピルとタバコ、貴方ならどちらを選択しますか?