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 2回に渡り、低用量ピル(以下、ピル)には高い避妊効果に加え、多くの副効用(体に良い作用)があることをお話いたしました。最終回は「ピルの副作用、ピルを服用すべきでない場合」についてお話します。
 外来で「ピルの副作用で何か心配なことはありますか?」と尋ねると、ほとんどの方が「ピルを飲むと太ると聞いたことがあります。」と答えられます。確かに、従来の中・高用量ピルを長期間服用すると体重増加傾向を認めることがありましたが、低用量ピルではほとんどの女性で体重変化はみられません。一時的な食欲増進により体重増加傾向を認める場合もありますが、数ヶ月で落ち着きます。また、吐き気、むくみ、不正出血、倦怠感、頭痛、乳房の張りなどの症状を自覚する人もいますが、これらの多くは1〜2ヶ月以内に軽減、消失します。頻度は非常に稀ですが、ピルの服用によって発現リスクを高める可能性がある重篤な病気に、心筋梗塞、静脈血栓塞栓症及び脳卒中があります。これらは、タバコを吸う方で頻度が高まると報告されています。ピルを服用する、しないにかかわらず、タバコの健康被害を考え禁煙することが一番です。 「ピルを服用すべきでない場合」とは、以下のような病気にかかっている、又はかかったことがある場合です。すなわち、乳がん、子宮体がん、心血管疾患、心弁膜疾患、虚血性心疾患、脳卒中、高血圧、静脈血栓症、血栓性素因、重症糖尿病、重症肝胆嚢疾患、片頭痛などですが、35歳以上の喫煙者、分娩後6ヶ月以内の母乳栄養の方、及び授乳されていない分娩後21日以内の方も服用できません。また、特定の抗生物質、抗てんかん薬、及びセイヨウオトギリソウ(ハーブ)などはピルの避妊効果を減弱する可能性があります。
 「低用量ピルは女性の生活改善薬です」と題し、「ピルの正しい知識」についてお話してきました。私ども産婦人科医がピルを紹介する時、その女性がピルを服用することで避妊以外にどんな副効用が期待できるかを常に考えています。ピルはほとんどの女性が安心して飲める薬ですが、残念なことにピルを服用できない女性がいることも事実です。一方、タバコを止めることでピルの恩恵を受けることが出来る女性もいます。 ピルとタバコ、貴方ならどちらを選択しますか?

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