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性感染症に関するご相談

性感染症は、性的接触により誰もが感染する可能性がある感染症ですが、最近では性器から性器への感染だけではなく、オーラルセックス(口腔性交)、アナルセックス(肛門性交)などにより咽頭、口腔、肛門など性器以外にも感染が認められるようになりました。このように、性器に限局するものという従来の概念から全身感染症(AIDSなど)としての性格を持つように変化しています。
性感染症はトリコモナス症を除いて、10代、20代を中心に増加傾向にあり、大きな健康問題、社会問題でもあります。母子感染(妊娠、分娩、育児をとおしての母から子への感染)により次世代への影響も問題となっています。また、性感染症は不妊症の原因や妊婦の流産、早産の原因になるばかりではなく、子宮頸がんを発生させる可能性もあります。治療は患者さんとパートナーの方の同時治療が必要です。

クラミジア感染症

Qどんな病気ですか?

A
クラミジア・トラコマティスという細菌が子宮の入り口に感染し、7〜14日程度の潜伏期を経て炎症を起こします。10代、20代の女性の感染が多く、男性の倍以上と報告されています。淋菌との同時混合感染も増加しています。また、クラミジアに感染しているとHIV感染症(エイズ)に感染する確率が高まると報告されています。

Qどんな症状が出ますか?

A
黄色のおりものが増えたり、おりものの臭いを自覚されて受診される場合がありますが、症状が無く、パートナーが感染したので心配で受診される方もいらっしゃいます。感染を放置した場合、炎症が子宮内膜、卵管と上行性に広がり、子宮外妊娠、不妊症、妊婦の流産・早産などの原因となることもあります。骨盤腹膜や肝臓の周囲にまで炎症が及び激しい腹痛を引き起こすこともあります。産道感染で新生児の失明の可能性もあります。

Qどんな検査をするのですか?

A
一般的には、子宮の入り口の細胞を細い綿棒で採取する抗原検査で診断します。しかし、腹腔内進行した感染があっても、抗原検査で確認できないことがあり、血液検査(抗体検査)を参考にする場合もあります。

Qどんな治療法ですか?

A
当クリニックでは、抗菌剤を1回内服する治療を第一選択としております。重症例では抗菌剤の点滴静注が適応となります。また、扁桃のクラミジア感染症では長期の内服治療が必要です。治療が終了してから2週間以降に治癒確認の検査を行います。

ヘルペスウイルス感染症

Qどんな病気ですか?

A
単純ヘルペスウイルスが原因の性感染症で、1型と2型があります。1型の感染部位は口唇、口腔などですが、オーラルセックスで性器に感染します。2型は性行為時の性器の接触により感染します。両方とも皮膚や粘膜に感染しますが、初感染でも症状が出ない場合もあります。ウイルスは末梢神経から神経後根細胞に運ばれて生涯に渡り潜伏します。発熱、外傷、免疫力の低下などでウイルスが再度活性化されるとウイルスは神経支配末梢に到達して再発となります。分娩時や産褥時は新生児への感染予防が重要です。

Qどんな症状が出ますか?

A
  1. 1.初感染:性交後3〜7日後に強い外陰部を自覚します。外陰部に左右対称性に発赤と浅い潰瘍性病変、小水疱が出現します。37〜39℃の発熱がみられたり、鼠径リンパ節の腫脹、圧痛を伴うこともあります
  2.  
  3. 2.非初感性初発型:初感染で症状が出ない場合、何かの誘因があって症状が初めて出現することがあります。すでに感染し免疫が出来ていますので重症化はありません。
  4.  
  5. 3.再発:発熱、紫外線、疲労、月経、飲酒、性交刺激などが誘因となり潜伏したウイルスが活性化し再度症状が出現します。多くの場合、数日前より腰痛、下肢のしびれ感など前駆症状が出現します。

Qどんな検査をするのですか?

A
視診が大切です。外陰部の小水疱、地図状の浅い潰瘍、発赤で診断します。また、病巣部の擦過検体からウイルス抗原やウイルスDNAを検出したり、初感染の診断と他の病気を除外するために血液でウイルス抗体価を調べることもあります。

Qどんな治療法ですか?

A
初感染の場合、抗ウイルス剤を5〜10日間内服します。局所には抗ウイルス剤の軟膏を塗布します。重症例では抗ウイルス剤を点滴します。再発では1週間程度で自然に治ることもありますが、抗ウイルス剤を使用すると早く治癒します。

尖形コンジローマ

Qどんな病気ですか?

A
ヒトパピローマウイルス(HPVの良性型)が原因の性感染です。子宮頸がんのヒトパピローマウイルス(HPVの悪性型)とは型が違います。数週間から数ヶ月の潜伏期間後に性器や肛門の周囲などにイボができます。

Qどんな症状が出ますか?

A
膣、小陰唇内側、処女膜、肛門の周囲にカリフラワー状、鶏のとさか状と称される米粒大から親指大の先が尖ったイボ(腫瘤)ができます。痛みやかゆみは少なく、違和感を自覚して受診される方もいます。

Qどんな検査をするのですか?

A
視診で診断はつきますが、イボの一部を切除して悪性の疑いがないか調べます。検査の痛みはありません。

Qどんな治療法ですか?

A
経過観察でよい場合もありますが、大きいものは切除、冷凍凝固、レーザー蒸散、抗がん剤軟膏の塗布などがあります。病巣が大きい場合、数が多い場合など、治療に時間がかかります。根気強く治療しましょう。

膣トリコモナス症

Qどんな病気ですか?

A
トリコモナス原虫の感染によって引き起こされます。膣以外にもバルトリン腺や子宮頚管、尿路などに棲息して再発の源になります。においの原因となる嫌気性細菌や一般細菌の増殖をきたして混合感染であることが一般的です。女性は男性よりは有症状ですが、10〜20%程度に無症候性感染もみられます。

Qどんな症状が出ますか?

A
外陰部のかゆみや、やける様な感じ、においのある黄色の泡立つような帯下が典型的な症状です。不正出血や膀胱炎を合併することもあります。

Qどんな検査をするのですか?

A
膣分泌物の顕微鏡検査でトリコモナス原虫を確認します。活発に運動しているので診断は容易です。子宮がん検診、膣分泌物培養検査、尿検査で偶然に診断されることもあります。

Qどんな治療法ですか?

A
抗トリコモナス剤内服による全身投与法と膣錠による局所療法があります。トリコモナス原虫は膣以外にも棲息することがあり、治療は局所・内服併用療法を原則とします。トリコモナス症は月経後の再発、再感染が多いので、治療後は次回月経後の再検査を勧めています。
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