「月経前症候群」とは、「月経の1~2週間前からはじまる身体的な不調や精神的に不安定な状態で、月経が始まると改善するもの」を言います。月経の有る女性の半数以上が何らかの「月経前症候群」の症状に悩まされていると推察されます。
その症状は実に多彩で、150以上もあるとされていますが、「身体的(カラダの)症状」と「精神的(心の)症状」に分けられます。代表的な「カラダの症状」としては、下腹部や乳房の張りや痛み、頭痛、肌荒れ、便秘や下痢、むくみや体重増加、食欲がでる、体がだるい、など。一方、「心の症状」としては、イライラする、怒りっぽい、憂うつになる、集中できない、落ち着かない、不安になる、泣きたくなる、眠くなる、などがあります。これらの症状は単独で現れることは少なく、多くは「カラダの症状」と「心の症状」が同時に現れます。また、症状の程度には個人差があり、仕事や子育てが手につかない、人間関係に影響が出るなど、社会生活を送る上で支障をきたす場合もあります。
月経の有る女性は、毎月女性ホルモンのシャワーを浴びていると言っても過言ではありません。この女性ホルモンの大きな変動が「月経前症候群」の「カラダの症状」を引き起こすと考えられています。また、月経前に脳内の伝達物質が急激に低下することが「心の症状」の原因と考えられています。
婦人科的な詳しい問診で診断されます。ところが、「月経前症候群」には先に述べたように多彩な症状があるため、「更年期障害」と自己診断する方や、「うつ病」と思い込んで心療内科を受診する方も少なくありません。貴方が、もしかして私も「月経前症候群」と感じたら、以下をチェックしてください。3つとも当てはまれば、「月経前症候群」を強く疑います。
- ① 月経の始まる1~2週間前から症状が現れる
- ② 月経が始まると症状が軽減、消失する
- ③ 日常生活に支障が出るくらい症状が重い
まず大切な事は、「月経前症候群」の正しい知識を身につけ、上手に付き合っていくことです。「女性ホルモンが悪さをしている!」と思えば、気持ちも幾分楽になります。
治療には、「薬物療法」と、食事や生活習慣の改善する「非薬物療法」があります。
「薬物療法」としては、低用量ピル、非ステロイド系抗炎症剤、利尿剤、抗不安剤、抗うつ剤、漢方薬などがあり、「非薬物療法」としては、食生活の改善(カフェイン・アルコール・塩分・糖分を摂り過ぎない、ビタミン・食物繊維を摂る、タバコを控える)、適度な運動を心掛ける、などがあります。現時点で妊娠を望んでいない女性には、多くの利点を有する「低用量ピル」が最適の治療法と考えます。
「月経前症候群は、仕方が無い…」と諦めないで、婦人科医にご相談下さい。