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:「子宮頸がん予防ワクチン」をご存知ですか?

「のぼせ、ほてり、汗、動悸などの症状が一日に何度もあり、家事や仕事に集中できません。そういえば何カ月も月経が来ていません。更年期障害でしょうか?」そのような理由で婦人科を訪れる女性の年齢が50歳前後の場合、「更年期障害」を強く疑います。しかし20歳~30歳代の女性の場合には、「早発卵巣不全(そうはつらんそうふぜん)」の可能性があります。

☆「子宮頸がん」について教えてください。

日本女性の平均閉経年齢は約50歳(45~56歳)と報告されていますが、40歳未満で卵胞が枯渇または減少し、月経が無くなった状態を「早発卵巣不全」と言います。頻度は40歳未満の女性の約1%と報告されています。

一方、43歳未満で卵巣内の卵胞が枯渇し無月経となった状態を「早発閉経」と言いますが、卵巣にはまだ卵胞が残っている状態も含む「早発卵巣不全」とは区別されています。「早発閉経」は治療によって排卵することは有りませんが、「早発卵巣不全」は治療によって排卵、妊娠することもあります。

 

☆「子宮頸がん予防ワクチン」について教えて下さい。

「早発卵巣不全」の多くは原因不明です。原因の明らかなものは1~2割程度で、遺伝性、自己免疫疾患(甲状腺疾患、糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど)、医原性(卵巣手術、放射線治療、化学療法、免疫抑制剤)などがあります。

 

☆	ワクチンの接種を受ければ、子宮頸がん検診を受けなくてもいいのですか?

第一の症状は、今まで来ていた月経が3カ月以上停止する「続発性無月経」です。また、「早発卵巣不全」の患者さんは慢性的な女性ホルモン(卵胞ホルモン)欠乏状態が持続しており、様々な更年期症状が出現します。具体的には、ほてり、のぼせ、発汗、動悸などの「血管運動神経系の障害」、肩こり、腰痛などの「運動器系の障害」、頭痛、不眠、イライラ、不安感などの「精神神経系の障害」、などが挙げられます。将来的には、骨粗しょう症、動脈硬化、痴呆などの危険性が高まります。

 

ワクチンの予防効果は、年代によって違うと聞きましたが本当ですか?

確立された診断基準はありませんが、一般的には以下の条件を満たす場合、「早発卵巣不全」と診断します。①40歳未満、②4~6カ月間の無月経、③血液検査で卵巣刺激ホルモン高値かつ卵胞ホルモン低値

 

ワクチンの予防効果は、年代によって違うと聞きましたが本当ですか?

妊娠を希望しない場合、ホルモン補充療法を第一選択とし、更年期症状の緩和及び将来の骨粗しょう症、動脈硬化の予防を行います 。

妊娠を希望する場合、ホルモン療法によって卵巣刺激ホルモン高値の状態を改善させた後に排卵誘発剤を使用します。自己免疫疾患例では副腎皮質ステロイドの併用を行います。これらの方法により、排卵を認めたとの報告があります。

 

ワクチンの予防効果は、年代によって違うと聞きましたが本当ですか?

今までみられた月経が3ヶ月以上停止した状態を「続発性無月経」といいますが、最も多くみられる「続発性無月経」の原因は「ストレス」です。具体的には、入学や就職に伴う「環境に対するストレス」、運動選手にみられる「過度のスポーツ」、若い女性にみられる「ダイエットによる体重減少」、思春期にみられる「神経性食欲不振症」などです。その他の原因として、発汗、動悸、体重減少などを伴う「甲状腺機能亢進症」、乳汁漏出や不妊症を伴う「高プロラクチン血症」、月経不順や不妊症を伴う「多囊胞性卵巣症候群」、降圧剤、胃薬、抗うつ剤による「薬剤性」などがあります。

産婦人科医

 

今回は、「早発卵巣不全」についてお話しました。
「早発卵巣不全」は日常のQOL(生活の質)を損ない、将来の骨粗しょう症、動脈硬化及び痴呆の危険性を高める可能性があります。3か月以上の無月経は、「早発卵巣不全」を初めとした種々の病気の兆候と受け止め、婦人科医にご相談して下さい。