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性感染症の「梅毒」が急増しています
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HPVワクチンのキャッチアップ接種が始まりました
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性感染症とプレコンセプション・ヘルス・ケア
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月経以外に出血があったら?
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ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん等)予防ワクチンをご存知ですか?
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「子宮内黄体ホルモン放出システム」をご存じですか?
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月経を早めたり遅らせたりできますか?
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低用量ピルには避妊効果以外に多くの副効用(=利点)があります
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続「卵巣チョコレート嚢胞」と診断されたら
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40代女性の婦人科疾患とホルモン療法
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『過多月経』は鉄欠乏性貧血の原因になります。
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『妊娠・出産には適齢期があること』をご存じですか?
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『高プロラクチン血症』と診断を受けたら
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『子宮頸がん検診』で「意義不明な異型扁平上皮細胞」と連絡が来たら
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『無排卵周期症』と診断されたら?
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早発卵巣不全
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『緊急避妊ピル』をご存じですか?
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『卵巣チョコレート嚢胞』と診断されたら
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『子宮頸がん検診』で精密検査が必要と連絡が来たら
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『多嚢胞性卵巣症候群』をご存知ですか?
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『子宮頸がん予防ワクチン』の任意予防接種が始まりました。
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「子宮腺筋症」は女性のQOLを低下させます。
「子宮頸がん予防ワクチン」をご存知ですか?
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生理が止まったら
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「月経前症候群」をご存知ですか?
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もしかして「更年期障害」?
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「子宮頸がん」は予防できます。
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低用量ピルは女性の生活改善薬です。
皆さんは、低用量ピルと聞いてどんなことを連想しますか?また、どんな知識を持っているでしょうか?「ピル=世界中で1億人が使用している最も確実で安全な避妊法であり、多くの副効用を合わせ持つ女性の生活改善薬」と答えられる方は少数派で、多くの方が「ピル=副作用」、特に女性にとっても気がかりな「ピル=太る」のフレーズが頭の中をよぎったことと思います。
わが国では1999年9月に低用量ピルが承認され9年が経過しましたが、普及率は3%弱(70万人)に留まっています。40年前から承認を受け、現在60%弱の女性が低用量ピルの恩恵を受けているドイツとは比較はできませんが、日本では何故低用量ピルが普及しないのでしょうか?民族性にも起因するホルモンに対する漠然とした不安感、日本でも数十年前から承認されているホルモン量の多い中・高用量ピルに対するイメージ、そして何より低用量ピルに対する正しい知識がまだまだ普及していないことが原因と思われます。
そんな訳で、今回は「低用量ピルの正しい知識(①避妊効果、②副効用、③副作用)」についてお話ししたいと思います。
初めに、低用量ピルの避妊効果についてお話します。低用量ピルは3つの作用で高い避妊効果を発揮します。第1の作用は卵巣の排卵抑制です。脳が低用量ピルに含まれるホルモンをキャッチすると、「私は妊娠している」と錯覚し卵巣の活動が休止します。第2の作用は受精卵の着床のベッドである子宮内膜を変化させ、万が一排卵して受精したとしても着床しにくい状態にさせます。第3の作用は子宮の入り口の粘液を変化させ、精子が子宮内に入りにくくさせます。低用量ピルを飲み忘れなく正しく飲んでいる場合、1000人の女性が1年間に妊娠するのは3人以下と報告されています。それに対し、コンドームの場合は20人から150人が妊娠するとされていますから、低用量ピルの避妊効果がいかに高いものか実感できます。